良薬口に苦し

僕は女性が好きだ。特に可愛い人が。しかし、悲しいかな、虫がいたら女性を楯にして難を逃れようとするハートとドラえもんのような体型では決してモテない。

そこで僕は、可愛い女性をバレずに凝視する能力を身につけた。最初はかなり苦心した。クラッチバック持ってそうな彼氏を呼ばれたり、「目の前にいるメガネがこっち見てくんだけど、どうしよう」と僕の目の前でTwitterに呟かれたりした。しかし、ついに最強の能力を身に付けたのだ!

見える!見えるぞ!!可愛い女の子が!!!授業中だろうが電車の中だろうがバイト中だろうがどこでも可愛い女の子が僕の網膜に写っている!!ハハハ、人生楽しすぎ!!片思いのあの娘も思いのままに見れるぞ!!


そんな女の子凝視ライフを送って数ヶ月たった頃、突然、能力の副作用が僕を襲った。


「いらっしゃいませ~~」「あ、この店員!私のことジロジロ見ながらレジ打つんだけど~~特に胸!ウケる~~」




いい薬には必ず副作用があるように、強い能力にもそれ相応の副作用がある。僕は、数ヶ月の薔薇色の人生の代償として何か大切なものを失った気がした。